2025/26シーズン 新体制発表会
猛暑の日曜日。リニューアルしたばかりのショッピングセンターに、監督や選手たちの覚悟と、ファンの期待が交差する。新たなスローガンを掲げ、ノジマステラ神奈川相模原が歩み出す。2025/26シーズンに向けた新体制発表会が行われた。
馬場正臣社長「地域の人々の心のよりどころになれるように」
7月27日、ノジマステラ神奈川相模原の新体制発表会が開催された。会場となったのは、7月18日に全館リニューアルオープンを迎えたばかりのイオン相模原ショッピングセンター。その1階にある「けやきスマイルガーデン 遊び場スペース」には、地元のファンが熱心なまなざしを向け、買い物客も足を止めて、小笠原監督や選手たちの言葉に耳を傾けた。
イベントの冒頭で登壇したのは、クラブの馬場正臣社長、小笠原唯志監督、そして鳥居塚伸人強化ダイレクターの3人。最初にマイクを握った馬場社長は、昨シーズンの振り返りと今シーズンにかける思いを丁寧に語った。
「昨シーズンは最終的に10位で終えました。前半戦はかなり苦しみましたが、後半戦は選手たちが成長し、成績も上向いてきました」
その言葉のとおり、雪の中での日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦(2-2)、AC長野パルセイロ・レディース戦(3-0)とマイナビ仙台レディース戦(2-0)の連勝、そしてジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦での快勝(4-1)と、後半戦には力強い戦いぶりが見られた。サンフレッチェ広島レジーナや三菱重工浦和レッズレディースとの試合でも、あと一歩で勝利に届く内容を見せ、チームの成長と可能性を印象づけた。
一方で、WEリーグ全体の来場者数が平均2100人と前年から約120%以上の伸びを記録したのに対し、ノジマステラの平均は900人台にとどまった。ホーム11試合のうち6試合が雨という不運もあったが、クラブとしての露出やマーケティングの強化は、今後の大きな課題だと語った。
そうした背景を踏まえ、今シーズンのスローガンには「GEAR! CHANGE! STELLA」が掲げられた。昨シーズン後半に見せた成長を確かなものとし、クラブ全体で“ギアを入れ替える”という決意が込められている。
目標として掲げたのは、リーグ戦でのAクラス(6位以上)入り、そしてカップ戦と皇后杯での優勝。昨シーズンは5位を目指しながら10位に終わっただけに、現実的でありながらも挑戦的な目標に、全員で挑む構えだ。
「単なるスポーツチームという枠を超えて、地域の人々の心のよりどころになれるように、これからも成長し、改善し、努力を重ねていきたい」
馬場社長の言葉からは、クラブの未来にかける強い意志がにじんでいた。
小笠原唯志監督「世間をあっと驚かせるようなチームをつくる」
小笠原唯志監督は、新シーズンにかける決意を率直な言葉で語った。
「昨シーズンの10位という結果には、選手もスタッフも満足していません。今シーズンは、内容をしっかり振り返ったうえで、世間をあっと驚かせるようなチームをつくり、選手の育成に取り組んでいきます」
昨シーズンを振り返る中で、攻撃面には一定の手応えがあったという。シーズンを通して27得点を記録し、後半戦のラスト3試合ではすべて先制点を挙げて主導権を握ることができた。しかし、チームには明確な課題も残っていた。
「課題は、やはり失点を減らすことです。昨シーズンの失点は39で、立ち上がりや終盤に失点する試合が多く見られました。例えば、大宮戦(1-2)では開始直後にCKから失点し、浦和戦(2-2)では後半アディショナルタイムに失点してしまいました」
この課題に対し、個々のスキルだけでなく、チーム全体のプレー強度とスピードアップが必要だと監督は語る。
「ゴールに向かうスピードも、もっと追求していきたいです。なでしこジャパンの選手の中には、時速30kmを超えるスプリントをする選手が何人もいます。フィジカル面、特にスプリント力を上げていく必要があります」
もちろん、それは一朝一夕で実現できるものではない。だからこそ、小笠原監督は「日常の変化」の重要性を強調する。
「まずは日常を変えていかないと、勝負どころでは結果は出ません。選手自身が主体性を持ち、チームを変えていく意識が必要です。そして勝者のメンタリティを身につけること。スタジアムで皆さんと一緒に喜び、笑顔になれるような結果を出せるよう努力します。そして、私たちが“ギアチェンジしたな”と感じてもらえるようなシーズンにしたいと思っています」
戦力補強については、強化ダイレクターの鳥居塚伸人氏が説明した。
「昨シーズンは退団した選手が11名、引退した選手が3名いました。今シーズンは足りない部分を補い、チームをさらに強化するために選手を獲得しています」
今シーズン新たに加わったのは5名。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースから岸川奈津希、アルビレックス新潟レディースから白井ひめ乃、ちふれASエルフェン埼玉から祐村ひかる、伊賀FCくノ一三重から風間優華、そして元INAC神戸レオネッサのパオラ ソルデヴィラを迎えた。
「そのほか、2種登録選手や強化指定選手の検討も進めており、高校生や大学生の卒業タイミングでの補強も見据えています。選手たちは、暑さの中でのキャンプを経て、昨シーズンの積み上げを生かしながら、改善に取り組んでいます」
鳥居塚伸人強化ダイレクター「細かな部分は検証を進めている」
小笠原監督は、その後の質疑応答で、最近のトレーニングマッチで印象に残ったプレーや場面について、次のように振り返った。
「トレーニングマッチをしていて、思っていた以上に早く状態が良くなっていると感じています。新しい選手たちがうまくフィットして、ボールを動かす形やゴール前への入り方が仕上がってきたのが一番印象に残っています。特に、ボールをうまく動かせるようになった点は大きいですね。ただ、開幕前にあまり調子を上げすぎないようにしないといけません。昨シーズンは両サイドに速さがあった分、今シーズンは少しスピーディーさが落ちた印象もあります」
鳥居塚強化ダイレクターは、守備面の課題に触れながらこう語った。
「今シーズンからサポートに加わっていますが、まずは小笠原が体現したいサッカーを一緒に作り上げているところです。攻撃面では崩しの部分が少しずつ良くなってきていると思いますが、昨シーズンの課題は失点だったので、失点につながる細かな部分は検証を進めています。リスクマネジメントを徹底し、失点を減らしていきたいと思っています」
新体制発表会を通じて伝わってきたのは、昨シーズンの悔しさを糧に、さらなる成長と変化を積み重ねていこうとするクラブの覚悟だ。ノジマステラは今、ギアを入れ替え、新たな挑戦へと歩みを進めている。■
ノジマステラ神奈川相模原
ノジマステラ神奈川相模原は、2012年に設立された神奈川県初の女子プロサッカークラブ。
チャレンジリーグ昇格からWEリーグ参戦まで、着実に成長を続け、地域の「星」として輝きを放っています。

クラブ紹介
ノジマステラ神奈川相模原は、2012年2月に株式会社ノジマの女子サッカー部として設立され、神奈川県初のなでしこリーグ1部昇格を目指してスタートしました。
2013年にはチャレンジリーグ(全国2部)へ昇格し、2015年からはリーグの再編成に伴い、なでしこリーグ2部で活動を開始。2016年には2部で優勝し、見事1部昇格を果たしました。
その後、2017年から2020年までの間、なでしこリーグ1部で戦い抜き、2018年にはリーグ3位という結果を残しました。2021年からは、日本初の女子プロサッカーリーグであるWEリーグに参戦し、さらなる挑戦を続けています。
チーム名「ステラ」はイタリア語で「星」を意味し、神奈川県で女子サッカーの普及と発展に尽力し、地域を代表する「星」となることを目指しています。
ホームタウン
- 神奈川県
- 相模原市
- 座間市
- 綾瀬市
2024-25シーズン 選手・スタッフ

選手
- 1 GK 久野吹雪
- 2 DF 小野奈菜
- 3 DF 井上陽菜
- 4 DF 伊東珠梨
- 5 DF 大賀理紗子
- 6 MF 下山莉子
- 7 MF 平田ひかり
- 8 MF 西郡茉優
- 9 FW 南野亜里沙
- 10 FW 榊原琴乃
- 11 FW 浜田芽来 浜田芽来インタビュー サイドバックとして描く未来|ノジマステラ神奈川相模原
- 14 DF 南里杏
- 15 FW 根府桃子 根府桃子インタビュー アカデミー育ちが紡ぐ熱き思い|ノジマステラ神奈川相模原
- 16 GK 池尻凪沙
- 17 MF 川島はるな 川島はるなインタビュー キャプテンがつかんだ手応え|ノジマステラ神奈川相模原
- 18 FW 片山由菜 片山由菜インタビュー 挑戦を重ねるストライカーの決意|ノジマステラ神奈川相模原
- 19 FW 笹井一愛
- 20 FW 大竹麻友 大竹麻友インタビュー もっと強くなるために|ノジマステラ神奈川相模原
- 21 DF 長嶋洸
- 22 DF 常田菜那
- 23 MF 藤原加奈
- 24 MF 小高夢
- 25 MF 木竜有姫
- 26 MF 笹井優愛
- 27 MF 築地育
- 28 DF 加藤真実
- 30 GK 岩崎有波
- 32 MF 鈴木紗理
スタッフ
- 監督:小笠原唯志
- コーチ:緑川浩平
- 分析兼コーチ:櫻林亜佐子
- GKコーチ:高橋拓輝
- GKアドバイザー:前田隆司
- トレーナー:熊谷一郎
- フィジカルコーチ:加藤まなみ
- 主務:前原彩那


2024-25シーズン 試合日程・結果
WEリーグ WEリーグ 試合日程|ノジマステラ神奈川相模原
WEリーグカップ WEリーグカップ試合日程|ノジマステラ神奈川相模原
WEリーグ・WEリーグカップ 過去の結果・選手出場記録
相模原ギオンスタジアム アクセス
相模原ギオンスタジアム アクセス 電車・バス・タクシー | STADIO
ノジマステラ神奈川相模原アカデミー
ドゥーエ(U-18)
「ドゥーエ」はイタリア語で「2」を意味し、トップチームに次ぐ将来有望な選手たちが集うチームです。個々の個性を伸ばし、世界で活躍する一流選手を目指して、パフォーマンスのキレや美しさ、そして人間性の両面を磨いています。
アヴェニーレ(U-15)
「アヴェニーレ」はイタリア語で「未来」を意味し、クラブの未来を担う若手選手たちが集まるチームです。多彩なトレーニングを通じて、日本および世界で活躍できるトッププレーヤーを育成することを目指しています。
スクール
2013年に開校したサッカースクールは、サッカーの技術向上を目指す子どもたちや、これからサッカーを始めたい子どもたちが参加できる場を提供しています。スクール生は男女を問わず、他チームに所属している選手も参加可能です。